プロのバスケットボール選手と日本の学生バスケの選手たちを見比べるとあることに気がつきます。
それが「マウスピース(マウスガード)」の着用の有無です。特に本場アメリカの選手の多くがマウスピースを着用しています。
子供のバスケはそんなに激しくないから・・・と思ってしまいがちですが、「子供だからこそ着用した方が良い」という部分があります。
そこで今回は、バスケでマウスピースを着用する必要性とおすすめのマウスピースについてご紹介します。
バスケットボールの怪我の多くは歯や頭
学校事故事例検索データベースより、小中高の2021年11月時点での直近300件のバスケットボールに関連する怪我を抜粋すると、歯に関する怪我が104件(34.7%)、目や顎を含む頭部の怪我が47件(15.7%)となっており、約2件に1件が頭部や口に関係する怪我となっています。
学校の授業などでの怪我ですので、実際の競技でのバスケとは少しずれるところもありますが、それでもバスケットボールという競技は歯や頭部への怪我のリスクは非常に高いことが伺えます。
実際の競技で見ても、バスケはぶつかり合いが多い競技であり、
- 肘が口に当たってしまう
- ルーズボールで頭部同士がぶつかる
- ボールが頭に直撃する
など口や頭部への怪我のリスクは低くありません。マウスピース(マウスガード)はこういった怪我や衝撃から口や歯、頭を守ってくれます。
NBAは全カテゴリでマウスピース着用を推奨
世界最高峰のバスケットボールリーグであるNBA。
NBAは、小さな子供から若手の発掘など世界中でさまざまなバスケ普及に関する活動を行っていますが、その一環で全カテゴリ・全レベルにおいて、マウスピース(マウスガード)の着用を強く推奨しています。
あまり知られていませんが、NBAの公式パートナーとしてマウスピースのブランドがあるほどです。
それほど、バスケにおいてマウスピースは重要であると言えるでしょうし、ミニバスなどは大人のバスケと比べれば衝撃が少ないとはいえ、マウスピースをすることで怪我や障害を防止できると言えます。
バスケでマウスピースを着用するメリット
では具体的に、マウスピースを着用するとどんなメリットがあるのかを解説していきます。
競技パフォーマンスでのメリット
筋出力を高める
力を入れる際、歯を食いしばることがあるかと思います。
この「食いしばりの力の大きさ」が、筋出力に大きく関わっていると言われており、マウスピースを着用することで、歯を食いしばりやすくなるため、パフォーマンスが向上すると言えます。
2018年の夏の甲子園で金足農業高校がフィーバーしましたが、エースの吉田投手(現日本ハムファイターズ)が、マウスピースをしていたことを記憶している方も多いかと思いますが、速球が武器であった吉田投手はマウスピースの力で筋出力を高めてパフォーマンスを高めていたと言えるでしょう。
首周辺の筋肉の適度な緊張による身体の安定
マウスピースを着用すると、適度に口を閉めていなければならないため、顎や首周りの筋肉が適度に緊張している(少し力が入っている)状態になります。これによって、頭部と身体の軸が安定し、ぶつかり合いに強くなったり、多少衝撃を受けても怪我などをしにくくなったりします。
ガードのポジションの選手よりもインサイドのポジションの選手の方が、マウスピースの着用率が少し高いのは、こういった理由からだと言えます。
かみ合わせの改善
マウスピースを口に入れることによって、かみ合わせが改善します。あまり知られていませんが、かみ合わせがズレている・よくない状態だと、
- 脳の働きが鈍る
- 集中力が低下する
などの悪影響があるとされており、マウスピース着用で、これらの悪影響も改善されると言えます。
怪我防止でのメリット
裂傷の防止
バスケの怪我で非常に多いのが、「外部からの衝撃が口に直接加わり、自分の歯によって口の中が切れる(裂傷)」というものです。
- 相手の肘が口に当たった
- ボールが口に当たった
- 相手の頭が口に当たった
など、強い衝撃が口に加わった際、歯自体には何もなくとも、尖っている歯が口の中の肌を傷つけてしまうことがよくあります。マウスピースを着用している場合には、裂傷リスクを低減できます。
歯の怪我の防止
口の裂傷と同じくらいよくあるのが歯が欠けてしまうという怪我です。
シチュエーションは裂傷と同じような場面ですが、歯は欠けてしまうと元には戻りません。
治療でそれっぽくなることはありますが、完全な状態に戻ることはほぼないとされています。マウスピースを着用すれば、このリスクも回避することができます。
顎や頭部への衝撃の低減
口や歯などへの衝撃で危険なのは、その衝撃によって「顎」や「頭部」への衝撃となってしまい、脳震盪などになってしまうことです。
ボクシングで相手の「顎」を狙うのは、顎に衝撃が加わると、脳震盪のような状態になって倒れるからですが、マウスピースをすることで、適度に顎や口に力が入った状態になるため「モロに衝撃が脳に伝わる」ということを避けることができます。
2010年代から世界のスポーツ界で「脳震盪の危険性」が叫ばれているため、その危険回避にマウスピースが非常に大きな役割を果たしている言えます。
バスケでおすすめのマウスピース3選
バスケで使えるおすすめのマウスピースを3つご紹介します。
ショックドクター
ショックドクターは2016年にNBAと公式にパートナーシップ契約を結んだブランドで、NBA各チームのマウスピースを制作していることで知られているブランドです。完全にスポーツ用に作られており、衝撃吸収力や使いやすさなども、非常に優れています。
SAFEJAWZ
セーフジョーズは、スポーツ用のマウスピースブランドで、豊富なカラーバリエーションと少しイカツめなデザインが特徴です。クッション性やフィット感も非常によく使いやすいのですが、説明書が英語のみだけだったりするので、日本では少し使いづらいかもしれない印象です。
アンダーアーマー
アンダーアーマーは、総合スポーツウェアブランドですが、マウスピースも作っています。もちろん、フィット感や機能性は全く問題ありませんし、アンダーアーマーというブランド力もありますし、デザインもかっこいいです。ただ、他のマウスピースより少し高価なため、価格には注意が必要です。
マウスピースの基本的な着用方法
個別のマウスピースの使い方については、購入したマウスピースの説明書を見ていただきたいのですが、ほとんどのマウスピースが下記の使い方で使えるため、着用方法などをご紹介しておきます。
とりあえずつけてみる
購入したマウスピースはとりあえず着用してみましょう。2回くらいつける練習をしてから、次に工程に進みます。
高温で柔らかくする
マウスピースは購入したばかりだと、自分の口に合う形ではないため、高温のお湯につけて柔らかくします。この温度は商品によって結構違うため、説明書を読んで行うようにしましょう。
口に入れて成形
火傷しないように、一瞬水で冷やしてから口に入れます。そのまま少し噛み締めて歯形をつける形にします。そのまま、舌で内側を成形し、外側から頬を手で押して、外側を成形します。
水で冷やして型を作る
成形後、水につけて置くことでつけた型が固まって、「自分のマウスピース」の完成です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
マウスピースはプロのものではなく、全カテゴリの選手に必要なものです。
リスクを低減し、パフォーマンスを向上させるためにも、ぜひ購入して使うようにしましょう。
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