ヘルドボールとは、バスケットボールの試合中に、ボールの奪い合いになって試合が止まってしまったり、ボールの進行が止まってしまった時などにコールされるものです。
バスケットボールというスポーツのスピード感や、選手の安全などにしたバスケットボールならではのルールとなっています。それでは、詳しくみていきましょう。
ヘルドボールとは?
ヘルドボールとは、バスケットボールの試合中にコールされる対象となる状態のことで、
簡単に言えば、「どちらのボールでもなく、試合が止まってしまっている」という状態のことです。
具体的には、下記の3パターンの時にヘルドボールの状態にあると言えます。
- 両チームの選手がボールを掴んで、どちらのボールでもない状態で試合の進行が止まった時
- ボールがゴールとボードの間に挟まってしまった時
- アウトオブバウンズになったが、審判がどちらのチームのボールで再開すべきかわからない時
全てに共通するのが、「どちらのボールとも言えない状態で、試合の進行が止まってしまった時」です。
ファウルもなく、どちらのチームの選手もクリーンにプレイをしているが、
どちらのチームのボールとも言えないタイミングで、ヘルドボールとなります。
ヘルドボールになるとどうなる?
ヘルドボールになった場合、審判は両手を「Good(親指が上を向いている)」にして、両手を挙げるジェスチャーをします。
ヘルドボールとは、「どちらのチームのボールでもない状態で試合が止まっている」という状態のことを指し、
審判がヘルドボールをコールすると、「オルタネイティングポゼションルール」という、予め決められた、交互のチームへのポゼッション権利によって、ボールの保持のチームが決められて、スローインで試合が再開されます。
オルタネイティングポゼションルールは、試合開始のジャンプボールの際に、ボールを保持したチームと逆のチームから交互に与えられるルールになっており、なぜこのような条件になっているのかというと、このルールの制定前の歴史にもつながります。
オルタネイティングポゼションとジャンプボール
現在のFIBAの公式ルールでは、ヘルドボールの際には、オルタネイティングポゼションが採用されていますが、20年ほど前には、ジャンプボールでの再開が採用されていました。
このルールが採用されている時代は、ヘルドボールのタイミングになると毎回ジャンプボールをしており、
世界のバスケのトレンドがディフェンシブなスタンスであったのも相まって、試合がヘルドボールによるストップすることが非常に多く起きていました。
ジャンプボールをする際には、ボールを取り合っていた両選手がサークルの中で対峙し、全選手がサークルの近くに陣取り、審判がボールを挙げるという手間が発生し、試合のスピード感が失われる状態となっていたのです。
また、身長が高い選手が絶対有利なのがジャンプボールであるため、「身長が高い選手のためのスポーツ」というイメージもつきやすく、身長が平均的に高くないチームにとっては、ディフェンスを頑張っても勝ちきれないということも起きていたため、このジャンプボールからの再開というルールを改正する事になりました。
こういった歴史もあるため、オルタネイティングポゼションやヘルドボールは、「ジャンプボールシチュエーション」と呼ぶ人もおり、名残が残っています。
ちなみに、正解最高峰のバスケリーグであるNBAでは未だにジャンプボールのルールを採用しているため、
ほとんど見られない、フリースローラインのあるサークルのジャンプボールも未だに見受けられます。
どんな試合でヘルドボールが起きる?
ヘルドボールが起こりやすい試合というのは、特徴がありますので、そちらをご紹介します。
- ミニバスなど少しレベルの低い試合
- 女子ようなの試合スピードが少しゆっくりな試合
- 1on1中心のオフェンス対チームディフェンスのチームの試合
もちろん、これらに当てはまらないこともありますし、当てはまってもなかなかヘルドボールが起こらない試合もありますが、特徴的なのは上記のようなパターンになります。
もう少し詳しく解説していきます。
ミニバスなどの少しレベルの低い試合
ミニバスの選手のレベルが低いということではなく、やはり全体的に経験の足りない小学生の試合は、
テクニックも身体能力もそこまで差がないため、試合全体が高いレベルであることは少ないです。
そうなると、ドリブルのミスやキャッチミスなどが多数発生し、ディフェンス側にとってもボールを狙いやすい状態が続きます。しかし、ディフェンス側もキャッチミスやカットしきれないようなことが多いため、結果的にボールの奪い合い(両者がボールを掴んで離さない)という事になります。
また、レベルがそこまで高くない試合になると、ボールに対して両チームの選手が集まる傾向が強いため、
両チームの選手がボールに群がる事によって、さらにどちらのチームもボールを完全に保持できない状態になって、ヘルドボールが起こります。
女子のようなの試合スピードが少しゆっくりな試合
ボールや選手がとても速いスピードで動く男子の試合では、実はあまりヘルドボールは起こりません。
男子のプロレベルの試合になれば、1試合で1度もヘルドボールが起こらない試合の方が多い位です。
しかし、それと比べると女子の試合はヘルドボールになる回数が多いのです。
理由としては、試合のスピード感になります。
女子の選手は身体的特徴もあって、男子よりかは選手のスピードがどうしてもゆっくりになります。
それに伴って、ディフェンスする側からしても、ボールをカットするのを狙いやすい状態になります。
そのため、ボールを両チームの選手が触るタイミングが多く、男子の試合よりはヘルドボールになりやすいです。
1on1中心のオフェンス対チームディフェンスのチームの試合
ヘルドボールは、両チームの選手がボールを掴んでどちらのボールとも言えない状態にある場合であり、
逆を返せば、オフェンス側がボールを保持し続けられる場合には、ヘルドボールはほとんど起こりません。
この点で見れば、1対1(1on1)中心のオフェンスを仕掛けるチームは、ディフェンス側からすれば、1選手を守ればボールを奪えるため、非常にボールを狙いやすい状態にあると言えます。
また、1対1中心のオフェンスチームがチームで守るディフェンスのチームと対戦した場合には、1対1に見えてもヘルプディフェンスが次々とやってくるため、実質1対5の状態になります。ここで上手くパスを捌けなくなれば、ボールをカットされたり、挟み撃ちされてしまうため、ヘルドボールになりやすいのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ヘルドボールは、「両チームのどちらのボールとも言えない状態で試合が停止してしまった」状態のことを指し、
ヘルドボールを審判がコールすると、オルタネイティングポゼションによって、ポゼッション権利のあるチームのスローインから再開されます。
ヘルドボールは、Bリーグをはじめとするプロの試合ではなかなか起こらないため、試合観戦などをしていてヘルドボールになると少し戸惑うかもしれません。
この記事の内容を参考にして、観戦のレベルが上がり、より楽しいバスケライフが送れることを願っています。
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