東京オリンピック2020が全日程を終了し、最終日に決勝が行われた女子バスケットボールでは、日本が全カテゴリを通じて日本初のメダルをもたらしてくれました。
この活躍により、日本国内での女子バスケの露出が高まっていますが、東京オリンピックに出場した選手全員が所属しているWリーグについてはあまり知られていません。
そこで今回は、日本の女子バスケの最高峰であるWリーグについてリーグ概要や歴史などをご紹介します。
Wリーグとはどんなリーグ?
Wリーグとは、正式名称をバスケットボール女子日本リーグとする日本国内の「女子バスケの最高峰リーグ」です。男子のB.LEAGUEに対するW LEAGUEと考えて良いかと思いますが、いくつか違いがありますので概要や歴史などを見ていきましょう。
2021年現在のWリーグ概要
Wリーグは歴史的にも多くのチームによって参入・撤退が繰り返されているため、常に同じ数のチーム数ではありませんが、2021年現在は13チームが参入しています。
参入チーム一覧
- プレステージ・インターナショナル アランマーレ(秋田県秋田市)
- 日立ハイテク クーガーズ(茨城県ひたちなか市)
- ENEOSサンフラワーズ(千葉県柏市)
- 東京羽田ヴィッキーズ(東京都大田区)
- 富士通レッドウェーブ(神奈川県川崎市)
- 新潟アルビレックスBBラビッツ(新潟県新潟市)
- 山梨クィーンビーズ(山梨県甲斐市)
- シャンソン化粧品シャンソンVマジック(静岡県静岡市)
- トヨタ自動車アンテロープス(愛知県名古屋市)
- 三菱電機コアラーズ(愛知県名古屋市)
- デンソーアイリス(愛知県刈谷市)
- トヨタ紡織サンシャインラビッツ(愛知県刈谷市)
- アイシン ウィングス(愛知県安城市)
となっています。
上記の中で特筆すべき部分としては、
- 「プレステージ・インターナショナル アランマーレ」が2021-22シーズンからの新規参入チーム
- 「アイシン ウィングス」は「アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス」からのチーム名称変更チーム
- 「ENEOSサンフラワーズ」は「JX-ENEOSサンフラワーズ」からのチーム名称変更チーム
であることが挙げられます。
リーグフォーマット
13チームによる2回戦総当り制を採用しており、全チームと2回対戦した状態での勝敗でリーグ順位を争います。基本的なフォーマットはこの後にプレーオフが行われますが、パンデミック禍である状態のため、2021-22シーズンの詳しい情報はまだ示されていません。
1チームの選手数
1チームの選手数は1チーム10名以上16名以内とされており、チームによって若干人数の違いがあります。
Wリーグの歴史
バスケットボール日本リーグの女子の部として設立されたリーグを前身としているリーグで、1998年に運営する団体がJBLから独立する形でほぼ現在の運営形式と同等の形となりました。
独立後のリーグをWリーグと呼び、それまでのリーグを日本リーグとして表現することがありますが、リーグの実態はこの前後では大きな変化はありません。
当時は2部に相当するリーグも存在しており、1999年あたりから、トップリーグを「Wリーグ」、2部を「W1リーグ」と呼んで運営されておりましたが、チームの統廃合や撤退が相次いだため、現在のトップリーグ単体運営に切り替わりました。
当時、「Wリーグ」と「WJBL」とこのリーグを表現する略称が同時に存在していましたが、トップリーグ1リーグになったあたりから、運営母体のことを「WJBL」、リーグのことを「Wリーグ」と表現することになりました。
強豪チーム
1980年代から長らくの間、シャンソン化粧品とJOMO(旧共同石油、後のJX,ジャパンエナジー,ENEOS)の2強時代が続いており、18年間に渡って2チームのどちらかが優勝するという状態が続いていました。
2007-08シーズンに富士通が優勝し、この状態を打破しますが、その後はENEOS(旧JX,ジャパンエナジー,JOMO)が12年に渡って優勝し続けるという1強時代を繰り広げ、2020-21シーズンにやっとトヨタ自動車が連覇を止めることに成功したという状況です。
ここ数年の状況を鑑みると、現在のリーグでは、ENEOS,トヨタ自動車、デンソー,富士通あたりが強豪チームと言えるでしょう。
Wリーグ全体の課題
戦力の偏り
強豪チームのところでもご紹介したように、強豪と呼べるチームに大きな偏りが見られており、上位に食い込むチームの顔ぶれはここ20年変化が少ないというのが大きな課題となっています。2部にあたるW1リーグを廃止したところからの課題でもありますが、なかなか解決には至っていません。
所在地の偏り
チームは活動拠点を決めて活動することができますが、リーグの半分近くのチームが愛知県を本拠地にしているという偏りがあります。
また、愛知県以西を本拠地とするチームがなく、ファンの獲得や地域性の差がどうしても出てきてしまうという状態です。
収益性の課題
リーグ全体として、参入チームが少なく試合数が多くできないことやTV放映などが少ないことなどから、収益性に課題が残っており、リーグ運営の不安定性が常態化している部分があります。
ここが解決できれば全国に一気に広がることもあり得ますが、世界的に見た女子スポーツの収益性の課題と同じように、男子スポーツ以上に収入を増やすことへの課題にぶつかっている状態です。
Wリーグの選手は全員プロ?
Wリーグに参加する選手は「プロなのか?」という疑問が多くの人にあることでしょう。
回答としては、「プロもいるが、会社員などと並行して活動する人もいる」ということになります。
プロ契約は1990年代後半には解禁されていましたが、女子では10年程プロ契約がなされず、2007年に大神雄子選手が国内初のプロ契約をし、女子バスケの国内プロ選手の誕生となりました。
しかし、先述したように国内リーグの収益性の課題や世界的に見た場合の女子スポーツの収益性の問題から、プロとなっても男子選手ほどに稼げる選手はほとんどおらず、プロ契約を結ぶ選手は限られているというのが現状です。
また、男子のトップリーグであるB.LEAGUEと違い、Wリーグはあくまでも国内トップの実業団リーグとされており、運営母体の多くは何かしらの事業を展開している企業であることも相まって、「企業のチーム」という認識の強いリーグとなっています。
移籍の少なさ
チーム数が少ないこと、そこに所属する選手が少ないこと、そしてアマチュア(セミプロ)選手が多く存在していることも相まって、各男子プロリーグと比較すると非常に移籍の動きが少ないのがWリーグです。
戦力均衡などの面で言えば、強豪チームの牙城を崩せるチームが少ない状態が続いてしまうというデメリットがある一方で、1人の選手がチームに長らく所属するため、戦術が組みやすかったり、ファンが固定客化するというメリットもあります。
Wリーグの試合を観るなら
Wリーグの試合を観るなら下記の2パターンが選択できます。
試合会場に足を運ぶ
東海地方や関東地方にお住まいであれば、意外と近くで試合が組まれていることもあるため、会場まで足を運んでみても良いでしょう。
完全プロの男子よりもアットホームな雰囲気が強い会場も少なくなく、より近い距離感で選手たちのプレイを観ることができます。
試合日程や会場については、Wリーグ公式サイトが随時アップデートされますので、こちらを見てみてはいかがでしょうか。
SPOZONEで無料観戦する
2021-22シーズンは、SPOZONEを通じて全試合が無料配信されることが決定されています。
開催される地域が限定されてしまうことや、新型コロナウイルス感染拡大の影響がおさまりきらない状況での会場観戦はちょっと・・・という場合にはSPOZONEでお家で応援してみましょう!
おわりに
いかがでしたでしょうか。
ここに記載したWリーグの情報はあくまでも概要であり、細かい部分は多々ありますが、一般論や状況は上記と把握しておけば問題ないでしょう。
オリンピックで素晴らしい成績を残した日本女子ですが、一過性のブームで終わらせないように選手・チーム・リーグ一丸となって今後露出を増やしてくるでしょう。
それよりも前にWリーグに注目して、古参ファンとしてWリーグを盛り上げてみてはいかがでしょうか?
コメント