バスケットボールの最も花形スタッツといえば、得点です。
バスケットボール選手がチームの勝利に貢献するために行うプレーはアシストやリバウンド、スタッツに残らないディフェンスの頑張りなどさまざまありますが、やはり分かりやすくチームに貢献できるスタッツが得点です。
バスケットボールの試合で得点といえば、20点とればしっかりと活躍、30点とれば大活躍、40点とれば大爆発というようなイメージですが、長いバスケの歴史の中ではとんでもない記録が生まれます。
そこでこのページでは、NBAの試合での1試合の歴代得点記録について紹介します。
1試合歴代得点ランキング
順位 | 得点 | 選手 | チーム | 年 |
1 | 100 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1962 |
2 | 81 | コービー・ブライアント | ロサンゼルス・レイカーズ | 2006 |
3 | 78 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1961 |
4 | 73 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1962 |
– | 73 | ウィルト・チェンバレン | サンフランシスコ・ウォリアーズ | 1962 |
– | 73 | デイビット・トンプソン | デンバー・ナゲッツ | 1978 |
8 | 72 | ウィルト・チェンバレン | サンフランシスコ・ウォリアーズ | 1962 |
9 | 71 | エルジン・ベイラー | ロサンゼルス・レイカーズ | 1960 |
– | 71 | デイビッド・ロビンソン | サンアントニオ・スパーズ | 1994 |
– | 71 | デイミアン・リラード | ポートランド・トレイルブレイザーズ | 2023 |
– | 71 | ドノバン・ミッチェル | クリーブランド・キャバリアーズ | 2023 |
13 | 70 | ウィルト・チェンバレン | サンフランシスコ・ウォリアーズ | 1963 |
– | 70 | デビン・ブッカー | フェニックス・サンズ | 2017 |
– | 70 | ジョエル・エンビード | フィラデルフィア・76ers | 2024 |
16 | 69 | マイケル・ジョーダン | シカゴ・ブルズ | 1990 |
17 | 68 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・76ers | 1967 |
– | 68 | ピート・マラビッチ | ニューオリンズ・ジャズ | 1977 |
19 | 67 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1961 |
– | 67 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1962 |
– | 67 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1962 |
– | 67 | ウィルト・チェンバレン | サンフランシスコ・ウォリアーズ | 1963 |
23 | 66 | ウィルト・チェンバレン | ロサンゼルス・レイカーズ | 1969 |
24 | 65 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1962 |
– | 65 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・ウォリアーズ | 1962 |
– | 65 | ウィルト・チェンバレン | フィラデルフィア・76ers | 1966 |
– | 65 | コービー・ブライアント | ロサンゼルス・レイカーズ | 2007 |
この表からわかるように、70点以上という「異常」なスタッツも75年以上続くNBAの歴史では何回か記録されていることがわかります。また、「ウィルト・チェンバレン」という異常なスタッツを残し続けている選手がいることもわかるでしょう。
チェンバレンはNBAのあらゆるスタッツの記録を保持している伝説の選手であるため、この表に出てくるのもあたりまえといえばあたりまえです。ただし、通算最多記録を更新したレブロン・ジェームズ、通算最多記録を持っていたカリーム・アブドゥル・ジャバーが登場しないのは意外といえば意外ですよね。
ちなみに、ウィルト・チェンバレンはキャリアを通じて60点以上を32回、50得点以上118回、40得点以上271回を記録しており、それぞれの回数は他の選手を引き離してぶっちぎりのトップです。
1試合100点はどれだけ異常なスタッツか
NBA歴代1位の1試合100得点という記録は、だれでも「目指してみたくなる」記録です。しかし、これだけの長い歴史の中で、最も近づいたコービー・ブライアントでさえ「19点差」であったことから「異常」であることはわかるでしょう。
そこで、ウィルト・チェンバレンが100点を記録した試合とコービー・ブライアントの81点試合のスタッツを見てみましょう。
プレイヤー | ウィルト・チェンバレン | コービー・ブライアント |
出場時間 | 48分 | 41分56秒 |
得点 | 100 | 81 |
FGA | 63 | 46 |
FGM | 36 | 28 |
FG% | 57.1% | 60.9% |
FTA | 32 | 20 |
FTM | 28 | 18 |
FT% | 87.5% | 90% |
3PA | – | 13 |
3PM | – | 7 |
3P% | – | 53.8% |
全ての数字が異常に見えますが、まず注目すべきはFGA(シュートの試投数)です。このページを作成している2024年現在のNBAでは、3Pやハイペース化によって全体的な得点が上がっていますが、1試合の「1チームの試投数」が大体80〜100程度になります。
チェンバレンは3Pを放っていない(当時はそもそもなかった)ため、単純比較はできませんが63本を試投するというのは現代でいえばチーム全体の6割〜8割程度のシュートを1人で行うということを意味します。この時点でそもそも難しいことがわかるでしょう。
次にフリースローの数。1試合で32本のフリースローを放っておりこれもとても異常なことです。というのも現代のバスケットボールは、1990年代よりも怪我の防止もあって「笛が軽くなった(ファウルをよくコールするようになった)」と言われていますが、それでも1試合の「1チームのフリースロー試投数」が大体20〜30程度となります。
ということは、現代のペースでいえば1試合のチームのフリースローを全部自分で放ったということにほぼ等しく、こちらも異常なことといえるでしょう。
ちなみに、スタッツの%のところをみれば理解できますが、シュートの効率でいえば81点を記録した試合のコービーの方が良いのです。そのことから、「ある程度高確率で決め続ける大エースに対し、効率度外視になってもシュートを打たせ続け、試合に出場させ続ける」という戦略をとらない限り、100点は届かない異常なスタッツであるということがわかります。
まとめ
2024年現在のNBAは、3Pの多投によるハイスコア化とより効率的な攻撃を行うためのアナリティクス、プレイエリアを広げる大エースの存在によって、1人の選手が爆発的に得点を稼ぐということが度々発生するようになりました。
しかし、それでも70点を獲得するのがやっとで歴史上2人しか届いていない80点以上は雲の上の存在といえます。とはいえ、歴史は塗り替えられていくもの。これらの記録がいつか抜かれる日をこの目で見ることができることを望みましょう。
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