バスケットボール最高峰の舞台。NBA。
全てのバスケットボール選手の夢の舞台ですが、
NBAには他のプロリーグよりも相当複雑で多くの種類の選手の契約があります。
そこで今回は、複雑で多数あるNBA選手の契約の種類を、初心者にもわかりやすくご紹介します。
一般的な選手の契約
では、まず一般的なNBA選手の契約から解説していきたいのですが、2020年現在のNBAの契約まわりを理解するには、サラリーキャップという概念を理解する必要があります。
サラリーキャップ
サラリーキャップとは、「1チームで契約できる選手の合計年俸はこの金額までにしてね」という、チームに課せられた、契約金額の上限です。
上限とはいっても、ラグジュアリー・タックスという罰金のようなものを支払えば、超えても問題ないのですが、なかなか莫大な金額を支払う必要が出てきますので、基本的には、サラリーキャップの金額以下でチームづくりをすることが求められます。
このサラリーキャップは毎年金額の上限が変わるのですが、ここ近年は毎年のように上限が上がっているため、各選手たちがもらえる年俸もアップしています。サラリーキャップが設けられている意義としては、これがないとお金持ちチームがお金で良い選手をかき集めて強いままでいられるため、リーグ全体が盛り上がらなくなってしまうためです。
マックス契約
NBAのシーズンが終わると、スター選手の契約更新や移籍などの際に、「マックス契約」という単語が聞こえてきます。ここでいうマックス契約とは、NBAがリーグとして定めた、上限での契約のことを指しています。
しかし、マックス契約というのは、明確な金額が決められているというよりは、毎年設定される、チームのサラリーキャップに対しての割合のマックスが決められているルールです。マックス契約でのサラリーキャップに対する割合は、NBAでのキャリアによって変わる仕組みになっており、一口にマックスと言っても、NBAでのキャリアによってマックスの金額が変わることになっています。
7〜9年目:サラリーキャップの30%
10年目〜:サラリーキャップの35%
上記のマックス契約の割合を見てもわかるように、チームのサラリーキャップの多くを1人の選手に出すような形になるため、必然的にスター選手の契約に使われることになります。
ミニマム契約
ミニマム契約とは、マックス契約の逆で、リーグが定めた最低保証の金額での契約締結となります。
マックス契約の選手が1人のチームであれば、ある程度まだ余裕はありますが、スター選手を2人抱えるチームで両選手ともマックス契約に近い金額で契約した場合には、2人の選手にチームの半分以上の年俸を使うことになってしまうため残りの選手は必然的に低い金額で契約する必要が出てきます。
そのため、優秀なロールプレイヤー(脇役的な選手)をミニマム契約で獲得するということがよく行われます。
その他の選手は、ミニマムからマックスの間の金額で、サラリーキャップの中に収まるように、契約を結んでいきます。単年から複数年までさまざまですが、この間で結ばれると考えて問題ありません。
ルーキー契約
さて、一般的な契約とそこまで変わらないのですが、NBAにはルーキー契約と呼ばれるものが存在します。
ドラフト一巡目選手
NBAは毎年ドラフトで選手を迎え入れるわけですが、一巡目でドラフトされるのは30人。
このドラフト一巡目の30人を対象とした契約の内容が、ルーキー契約と呼ばれています。
ルーキー契約と言っても、契約を結ぶのが1年目で、契約の内容自体のメインは2年目以降の内容になっています。
ドラフト順位の順番にベースとなるスケールサラリーと呼ばれる1〜3年目の年俸の基準額が決定されています。
3年目までは、ドラフト順位で決定されているベースサラリーに対して、80〜120%をかけた金額の範囲内で契約することがルールとして決められており、4年目は3年目のサラリーに一定の割合をかけた金額を年俸とするというルールになっています。
ベースサラリーと呼ばれるものが、1位が一番多いため、同じ年にNBA入りした選手では、最低でも3年目まではドラフト1位選手が一番年俸が多いことが通常です。
1巡目に指名された選手は、基本的に4年間の契約を結ぶこととなり、最初の2年間は全額保証となり、最後の2年間はチームオプション(チームが契約するかどうかを決定できる)となります。
2019-20シーズンにNBAドラフト一巡目9位でNBA入りした八村選手は、このドラフト一巡目30人に適用される、ルーキー契約の基準に沿って、契約をしたということがわかると思います。
ドラフト二巡目選手
ドラフトでNBA入りしても二巡目の選手は一巡目とは待遇が違い、基本的には最低額での契約となり、契約期間も2年での契約が基本です。二巡目からはベースサラリーがないため、上記が基本であって実際の契約金額はまちまちです。中には4年契約を結ぶ選手もいますし、1年契約もあります。しかし、その他の条件としては一般的なNBA選手の契約と同じです。
2way契約
2018-19シーズンに日本人2人目のNBA選手となった渡邊雄太選手が結んだ契約として日本でも話題となったのが、2way契約です。この2way契約と後にご紹介するExhibit10契約は、一般的なNBA選手の契約と違うということは理解しましょう。
2017-18シーズンから導入された新しい契約の形で、NBAのトップチームと下部リーグにあたるGリーグに跨る契約となっています。
2way契約を結んだ選手は、Gリーグのチームをメインとして、そのGリーグのチームが提携しているNBAチームにも所属して試合に出場できるという形になっています。NBAチームに帯同できる日数が45日間と決まっているため、全試合に2way契約の選手が出場することはできませんが、NBAの公式戦で戦うことが許される契約です。
1チームで2way契約を結べるのは2人までで、15人のロスターに加えてNBA公式戦のベンチに加えることができます。
しかし、デメリットもあり、2way契約を結んでいる間は契約を結んでいるトップチームからしか声がかからないということと、1チームとは2年間しか契約ができないということ、そして、NBAの在籍年数が4年以下という条件があるため、1プレイヤーで2way契約を結べるのは実質2回までとなる部分がネックとなります。
Exhibit10契約
Exhibit10契約(エキジビット10)とは、シーズン開幕前に開催されるトレーニングキャンプの参加を前提とされている契約で、Exhibit10のみでは、NBAの公式戦の舞台には立てないため、実質的なNBAプレイヤーとはなれない契約です。しかし、チーム側がOKを出せば、開幕前までに2way契約に切り替えることができる条件もついています。
また、Exhibit10契約は、開幕前のトレーニングキャンプを前提としていますが、契約期間は1年間となっており、もし開幕前の段階で2way契約を勝ち取れなかったとしても、傘下のGリーグチームと契約をして、一定期間プレイをすれば、ボーナスのような金額を手にすることができる契約となっています。
日本人選手では、2019-20シーズンの馬場雄大選手、2020-21シーズンの渡邊雄太選手がこの契約を結んでいます。
※2021年4月19日に、渡邊雄太選手の契約が2way契約から本契約に切り替わることが発表されました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実はここで説明しているよりも、もっと細かい規定やルールが決まっていますが、
一旦、全体感を把握するうえでは上記の内容を理解していれば十分でしょう。
このような契約の内容までも抑えることで、よりNBAが面白くなるでしょう。
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