バスケットボールのルール上で重たい罰則が課せられる「テクニカル・ファウル」。
他のファウルと違うのは、プレー中の行為だけでなく審判や観客、敵チームの選手に対する言動まで取り締まられる点です。
特にNBAでは危険なプレイにはテクニカルファウルではなく、フレグラントファウルがコールされるため、NBAでのテクニカルファウルのほとんどは選手の言動に関する点です。
そのためNBAでよくテクニカルファウルをコールされる選手は、それだけ試合中の素行がよくないと審判から思われているということです。
そこで今回は、NBAでの「テクニカルファウルをコールされた数」の歴代ランキングを紹介します。
※2023年7月現在のデータから作成しています。
NBAテクニカルファウル歴代20〜11位
まずは20位から紹介します。
20位:デマーカス・カズンズ(143回)
ポジション | センター |
出場試合数 | シーズン 654試合 , プレーオフ 20試合 計:674試合 |
テクニカル率 | 21.2%(5試合に1回程度) |
オールスターにも選ばれた経験のある、近代型の万能型ビッグマン。
ブギーの愛称で呼ばれ、ドリブルでのドライブも、ポストアップもスリーポイントまで対応でき、幅のある身体を使ってリバウンドももぎ取ってくる、味方にいれば非常に頼りになるセンターです。
ただ、試合中のトラッシュトークや審判への抗議が多くテクニカルファウルの数が多いことで有名なプレイヤーでもあります。
非常に優秀なプレイヤーでありながら、素行の問題や度重なる大きな怪我などもあって、2023年現在はどこのチームとも契約をしていない状態が続いています。
19位:アントワン・ウォーカー(144回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 893試合 , プレーオフ 64試合 計:957試合 |
テクニカル率 | 15.04%(7試合に1回程度) |
ボストンセルティックスやマイアミヒートなどでプレイし、パワーフォワードでありながら、柔軟なプレイが可能だった「ストレッチビッグ」と呼ばれる選手です。
インサイドプレイヤーながら、3ポイントを乱発する傾向があり、ボールハンドリングも得意であったために一時的にポイントフォワードとしてアシストを量産することも可能でした。
ハッスルプレーや相手を挑発するような動きをすることも多く、比較的高頻度でテクニカルファウルをコールされていました。
ちなみに、NBA引退後に自己破産を申請したことも有名です。
18位:ジャーメイン・オニール(146回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 1011試合 , プレーオフ 97試合 計:1,108試合 |
テクニカル率 | 13.17%(8試合に1回程度) |
日本では、「コニール」とよばれることもあったパワーフォワードの名選手で、アメリカ代表経験もあります。
プロ入り当初は高卒ながらディフェンスで期待されていましたが、年々オフェンス能力が向上し、ターンアラウンドからのフェイドアウェイを得意技として得点を量産しました。
インディアナペイサーズ時代、NBA史上最悪の乱闘と呼ばれる「パレスの騒乱」の中心人物の1人となっており、オニールも観客を右ストレートで殴り、出場停止処分を下されている。
17位:シャキール・オニール(150回)
ポジション | センター |
出場試合数 | シーズン 1207試合 , プレーオフ 216試合 計:1,423試合 |
テクニカル率 | 10.54%(10試合に1回程度) |
シャックの愛称で親しまれた、ゴール下の支配者。
「化け物しかいない」と表現されることの多いNBAの中でも一際大きな身体を持っていた選手です。
爆発的なパワーが注目されますが、ボールハンドリングやフットワークのレベルもとても高く、2000年代のペイントエリアで彼をシャットダウンできる選手はほぼ存在しませんでした。
そんなシャックですが、敵チームの選手を挑発することが多く、得点を決めた後やファウルコールされないことを抗議しにいく時にテクニカルファウルをコールされることが多かったです。
16位:カーメロ・アンソニー(156回)
ポジション | スモールフォワード |
出場試合数 | シーズン 1260試合 , プレーオフ 83試合 計:1343試合 |
テクニカル率 | 11.61%(9試合に1回程度) |
メロの愛称で呼ばれ、NBA歴代トップ10の通算得点を誇るオフェンスマシーンです。
基本に忠実なシュートフォームは芸術の域に達しており、異常なほどのクイックリリースと身長203cmの打点の高いジャンプシュートはなかなかブロックできませんでした。
ディフェンスの意識が著しく低い選手としても知られており、プロ入り数年経つまでは味方にパスをすることすらあまりみられないような「セルフィッシュ」な選手とも言われていました。
トラッシュトークに付き合ったり、審判に抗議することでテクニカルファウルをコールされることがありました。
15位:レジー・ミラー(161回)
ポジション | シューティングガード |
出場試合数 | シーズン 1389試合 , プレーオフ 144試合 計:1,533試合 |
テクニカル率 | 10.50%(10試合に1回程度) |
インディアナペイサーズ史上最高の選手とも呼ばれる、歴代屈指のシューターです。
引退当時はNBA通算最多3ポイント成功数の記録を保持していました。また、ニューヨークニックス戦で残り18.7秒から8得点をして勝利に導いた試合はあまりにも有名です。
負けん気が強い選手で、シュートを決めた後に相手チームの選手に自分を見せつける行為などが多く、直接の関わりは薄いとはいえ、NBA史上最悪の乱闘事件であるパレスの騒乱の当事者の1人となってしまいました。
14位:コービー・ブライアント(166回)
ポジション | シューティングガード |
出場試合数 | シーズン 1346試合 , プレーオフ 220試合 計:1,566試合 |
テクニカル率 | 10.60%(10試合に1回程度) |
ロサンゼルスレイカーズの伝説の選手の1人で、2000年代のNBAを引っ張ってきた代表選手の1人です。
マイケル・ジョーダンから「全てを真似された」と呼ばれるほど、プレイスタイルが似ており、高い身体能力と朝4時から始まる異常なほどの練習量に裏付けされた得点パターンで得点を量産し、チームを勝利に導きました。
バスケットボール選手としては非常にレベルが高かった一方、負けん気や気性が非常に荒かったと言われており、チームメイトとのトラブルやプライベートでもトラブルが絶えなかった選手でもあります。
13位:チャールズ・オークリー(168回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 1282試合 , プレーオフ 144試合 計:1,426試合 |
テクニカル率 | 11.78%(9試合に1回程度) |
マイケルジョーダンのいたシカゴブルズやニューヨークニックスを中心に活躍した選手で、身体が非常に強く、タフなディフェンスで活躍していました。
特にニックス時代はチーム全体としてタフなディフェンスを行うカラーがあり、しばしば相手チームとの小競り合いに発展することがあり、テクニカルファウルをよくコールされていました。
12位:ケビン・ウィリス(170回)
ポジション | パワーフォワード/センター |
出場試合数 | シーズン 1424試合 , プレーオフ 98試合 計:1,522試合 |
テクニカル率 | 11.16%(9試合に1回程度) |
44歳までNBAの舞台でプレーした、インサイドプレイヤーで1シーズンで2試合以上の出場を果たした選手としては、NBA記録となっています。
リバウンドが強く、体を張ったプレーを得意としていました。
テクニカルファウルをよく取られていたというよりは、それだけ長く、多くの試合に出場していたという証と思われる記録です。
11位:ケビン・ガーネット(172回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 1462試合 , プレーオフ 143試合 計:1,605試合 |
テクニカル率 | 10.71%(9試合に1回程度) |
KGの愛称で親しまれ、211cmの身長ながら時にはポイントガードまでこなすことのできるオールラウンド能力を持ち合わせています。
身体能力がとても高く、打点の高いフェイドアウェイはブロックすることが困難でした。安定したプレーをすることで知られ、1試合で爆発的に得点を取るということはあまりなく、常にダブルダブルを記録するというコーチから信頼されるプレイヤーでした。
ただし、闘志むき出しでプレーし、トラッシュトークも多く行うことから審判からテクニカルファウルをコールされることが比較的多かったプレイヤーです。
NBAテクニカルファウル歴代10〜1位
さて、ここからはトップ10になります。トップ3は特にテクニカルファウルの数が多く、これを超える選手は今後なかなか出てこないでしょう。
10位:ドワイト・ハワード(178回)
ポジション | センター |
出場試合数 | シーズン 1242試合 , プレーオフ 125試合 計:1,367試合 |
テクニカル率 | 13.02%(8試合に1回程度) |
2010年代のペイントエリアを支配したプレイヤーで、強靭な身体を武器にリバウンドやポストプレイで活躍していました。
208cmながらランニング垂直とびでは約100cmを記録しており、非常に高い身体能力を持っており、その恵まれた体格と身体能力はティム・ダンカンやケビン・ガーネットら、同時期のインサイドプレイヤーからも「天性の怪物」と呼ばれるほどでした。
2012年の移籍騒動後、ハワードに対するリーグ全体の評判が悪くなり、試合中に乱闘騒ぎを起こすことが多くなりました。
9位:ドレイモンド・グリーン(179回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 758試合 , プレーオフ 157試合 計:915試合 |
テクニカル率 | 19.56%(5試合に1回程度) |
ゴールデンステイト・ウォリアーズの王朝の屋台骨として支えている中心的な選手です。
NBAで唯一「得点以外の項目でトリプルダブル」を達成したプレイヤーとなっており、グリーンの「自己犠牲をしてでもチームに貢献する」という選手としての特徴を表しています。
パワーフォワードながら200cm未満の身長であることからも多少荒いプレーになることが多く、血気盛んに戦うことでフレグラントファウルをよくコールされる選手でもあります。
チームメイトともよく揉め事を起こし、試合中も審判の判定を笑ったり、審判に詰め寄って抗議するなど、テクニカルファウルをよくコールされ、出場停止処分を多く喰らうことでも有名。
2022-23シーズンでも16回のテクニカルファウルをコールされたことから、このペースを維持すればあと10シーズンで歴代1位に届きます。
8位:ラッセル・ウェストブルック(184回)
ポジション | ポイントガード |
出場試合数 | シーズン 1094試合 , プレーオフ 116試合 計:1,210試合 |
テクニカル率 | 15.20%(7試合に1回程度) |
シーズンのトリプルダブル記録や、シーズンの平均スタッツでのトリプルダブル、通算トリプルダブル数歴代1位、史上2人目のダブルトリプルダブルなど、「Mr.トリプルダブル」と知られている選手です。
気合いMAXの状態でプレーすることで知られ、高い身体能力からのダンクやスピード感あふれるランニングプレーが特徴です。
「Why not?」が座右の銘になっており、SNSでもよく使用されている。
ただ、気合を入れすぎるため、試合中にしばしば相手選手と口論になったり乱闘騒ぎに発展することが多く、テクニカルファウルをコールされることも比較的多いです。
6位:アンソニー・メイソン(192回)
ポジション | スモールフォワード/パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 882試合 ,プレーオフ 96試合 計:978試合 |
テクニカル率 | 19.63%(5試合に1回程度) |
先述したチャールズオークリーとともに、ジョーダン全盛期の時代のニューヨークニックスで活躍したタフなディフェンダーです。
フォワードながら201cmと身長は高くなかったものの、プロレスラーのような強靭な肉体を武器にプレイし、ダーティなプレイも厭わないディフェンダーでした。
坊主頭にロゴや絵などを剃り込んで登場することがトレードマークでした。
6位:ダーク・ノビツキー(192回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 1522試合 , プレーオフ 145試合 計:1,667試合 |
テクニカル率 | 11.51%(9試合に1回程度) |
ダラスの地に銅像が建っている、マブスのレジェンドです。
史上最も止めることのできないシグネチャームーブの1つである、片足フェイドアウェイを武器に、アメリカ国籍以外の選手としてNBA史上最もたくさんの得点を記録した選手。
ノビツキー自体そこまでパワフルなタイプではなかったこともあり、ゴール下でのぶつかり合いで乱闘騒ぎに発展してしまうこともあったり、審判への抗議でテクニカルファウルのコールが多かった選手です。
5位:デニス・ロッドマン(212回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 911試合 , プレーオフ 169試合 計:1,080試合 |
テクニカル率 | 19.62%(5試合に1回程度) |
奇抜な髪色と異常なほど気性が荒かったことで知られる、伝説のリバウンダー。
ディフェンスとリバウンドにのみ神経を注いでおり、無得点で20リバウンドを記録するなど、異常な程に偏ったスタッツを残した選手でもあります。
リバウンドを拾うことに全てを注いでおり、相手選手の腕を引っ張る、ユニフォームを引っ張る、爪を立てる、歯で噛もうとするなど、メチャクチャなことをたくさん行い、テクニカルファウルをよくコールされていました。
気性が荒くプレー以外でも、薬物、アルコール、行方不明などのトラブルを起こしていました。
コート横で撮影していたカメラマンを蹴り飛ばしたことは有名なエピソードです。
4位:ゲイリー・ペイトン(250回)
ポジション | ポイントガード |
出場試合数 | シーズン 1,335試合 , プレーオフ 154試合 計:1,489試合 |
テクニカル率 | 16.78%(6試合に1回程度) |
リーグの史上屈指のディフェンダーとして知られるゲイリーペイトンですが、非常にダーティなプレイヤーであることも知られています。
名選手でありながら、相手に足をかける、着地点に足を置いて相手を捻挫させようとするなど、なかなか褒められないプレーも数々行いました。
また、トラッシュトークも多かったことから、乱闘未遂のような状態になることも比較的多く、テクニカルファウルをコールされることも多かったです。
3位:ラシード・ウォレス(317回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 1,088試合 , プレーオフ 177試合 計:1,265試合 |
テクニカル率 | 25.05%(4試合に1回程度) |
「第二期バットボーイピストンズ」の中心人物で、211cmの身長ながら当時では珍しく3Pの確率の高かったストレッチビッグの象徴とも言える選手です。
「歩くテクニカルファウル」と呼ばれるほど、テクニカルファウルが多かったことでも有名で、すぐに審判に抗議する姿がよく画面に映されていました。
歴代でも突出して出場試合に対するテクニカルファウル率が高く、2000-01シーズンは1シーズンだけで41回のテクニカルファウルをコールされており、歩くテクニカルファウルの名に恥じない記録を持っています。
2位:チャールズ・バークレー(329回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン 1,073試合 , プレーオフ 123試合 計:1,196試合 |
テクニカル率 | 27.50%(3.5試合に1回程度) |
196cmとパワーフォワードとしてはとても小柄ながら、非常に体格がよく、日本では「空飛ぶ冷蔵庫」という愛称でも親しまれた選手です。
小柄だったこともあり、アウトサイドもインサイドでもプレーすることができたものの、若い女性に唾を吐きかけようとしたり、コート内外で頻繁に喧嘩をすることでも有名でした。
過度なハッスルプレーやあからさまなラフプレー、トラッシュトークが多く、「冷静沈着」の対極の存在として認識されることが多い選手です。
このトップ20の中でも出場試合に対するテクニカルファウル率が最も高いです。
1位:カール・マローン(332回)
ポジション | パワーフォワード |
出場試合数 | シーズン1,476試合 , プレーオフ 193試合 計:1,669試合 |
テクニカル率 | 19.89%(5試合に1回程度) |
マイケル・ジョーダン全盛期に、ジョンストックトンと一緒に活躍したパワーフォワードです。
プロレスラーよりも強そうな強靭な肉体を武器に、ストックトンから配給されるボールを次々にゴールに沈めていく「メイルマン」でした。
引退する最後の1シーズンを除いた18シーズンでわずか欠場が10試合という信じられない鉄人ぶりを発揮した選手でもあります。
プレーも安定していましたが、安定してテクニカルファウルをコールされることでも定評がありました。
まとめ
インサイドの名選手テクニカルファウルコールされすぎ。
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