バスケットボールは歴史が浅く、それ故にルールが度々変更されてきたスポーツでもあります。
ただ、変化してきたのはルールだけではありません。
バスケットボール選手たちを彩るユニフォーム(ジャージ)も時代とともにトレンドを変え、時にはルール変更も伴いながら変化を遂げてきました。
このページではバスケットボールのユニフォームのトレンドやルール変更の歴史について紐解いてみていきたいと思います。
バスケットボールのユニフォームの変遷
時代背景とルール変更、ファッション性などからどんどんとバスケットボールのユニフォームは変化していきました。ざっくりと時代の流れを見ながら見ていきます。
ピチピチタンクトップ + サポーター必須時代


バスケットボールのユニフォームといえば、タンクトップ+短パンというイメージを持っている方も少なくないでしょう。少なくともそのイメージはバスケットボールが誕生した頃から当てはまるものといえます。
バスケットボールが誕生した初期の時代、ユニフォームはピチピチのタンクトップ(今は下着で着るようなもの)に短めのショーツ(短パン)となっていました。しかし、当時のユニフォームで現代のイメージと違うのは、「サポーター」が必須だったということです。
ルール上必須だったというよりは、当時のバスケットボールは暴力的なプレーがある程度許されていたため、外部との接触から自分の身体を守るためにつけていることがほとんどでした。そのため、サポーターというよりも、肘当てや膝当てのクッションのような意味合いが大きかったです。
ソックスは怪我防止もあるため、ロングソックスがほとんどでした。
ちなみに、上半身がタンクトップが採用された理由は、動きやすいという機能性の面と、「袖があると接触を審判が判断しにくい」というルール上の面があったと言われています。
タンクトップが少しダボつく + 超短パン時代
Embed from Getty Images時代でいえば、1980年代中盤くらいまで。時代による素材の変化や、動きやすさが重なり、ユニフォームの上半身部分は少しゆとりのあるサイズ感になっていきます。
逆に下半身(パンツ、ショーツ)の部分は大きくならず、逆に若干小さくなったのでは?というユニフォームがトレンドとなります。パンツは太ももの半分より上くらいまでの長さしかなく、多くの選手はロングソックスを着用していました。
この頃になると、ルールも整備されていましたので「外部との接触から守るためにサポーター」という選手は少なく、各種自身の身体の怪我の具合によってサポーターを着用する選手がほとんどです。
そのため、「サポーターを着用しない」という選択肢も取れるようになります。
バギーショーツの登場


1980年代後半から1990年代にかけて、一気にバスケットボールのユニフォームに変化がありました。
段々と「ゆったりめ」なサイズ感が一般的となり、上半身も下半身もダボついたユニフォームになります。特に、下半身の変化が大きく、太ももの半分もなかったパンツの丈が長くなり、膝上あたりがトレンドとなりました。(バギーショーツ)
このゆったりめなパンツを一般化するユニフォームの変化に影響を与えたのが神様マイケル・ジョーダンだと言われています。
マイケル・ジョーダンがNBAに入団した当時は1980年代で、超短パンスタイルの時代でした。しかし、少しずつパンツの丈を長くしていったジョーダンが1990年代にスターダムにのし上がり、世界的にバスケが人気になると、多くのチーム、選手が真似をしてパンツの丈を長くしていったと言われています。
ちなみに、この時代からロングソックスが主流ではなくなっていき、ソックスが短くなるというトレンドも発生します。
ダボダボのユニフォーム時代


2000年代に突入すると、20年ほど前までピチピチが当たり前だったユニフォームが一気にダボダボになっていきます。
上半身はタンクトップというよりもノースリーブという表現が近いように布の面積が大きくなり、下半身のパンツは膝が完全に隠れるようなダボダボ加減がトレンドとなります。
ストリートバスケット出身のNBA選手も誕生しており、ファッションにバスケのユニフォームが用いられることも少なくなくなり、ストリートカルチャーと融合した形でバスケのユニフォームが進化したという表現が近いかもしれません。
NBAだけでなく、AND1などのストリートカルチャーのバスケットボールが世界的に流行るなど、バスケの世界観が一気に変わる時代ともいえます。
この時代を象徴する選手としては、アレン・アイバーソンが挙げられます。小さな身体ながらNBAで得点王を獲得するほどの実力を持ち、ダボダボのユニフォームと複数のアクセサリーを付けた見た目のインパクトで世間を魅了していきました。
この頃からアームスリーブやヘッドバンドなどのアクセサリー、ロングタイツなどを多くの選手が着用するようになります。ちなみに、この時代のソックスは非常に短くなり、時にはくるぶしソックスで試合に臨む選手もいました。
Tシャツタイプ登場とパンツ丈のルール設定


2010年代に入るとユニフォームに新たな変化が起こるようになります。
まず、上半身は「Tシャツタイプ」のユニフォームが登場することになりました。それまではタンクトップかノースリーブのみであり、ユニフォームから腕が全て見えているのが普通でした。
しかし、ピチピチのTシャツのようなタイプが登場し、NBAでも着用されたことから広がっていくことになります。ちなみに、NBA制覇を成し遂げた際のクリーブランド・キャバリアーズもTシャツタイプでした。
ただ、Tシャツタイプのユニフォームは布の面積が多い分、接触の多いバスケットボールの試合ではしばしば破れることも多く、問題視されていましたが現在では各メーカーの製造努力によって強度も上がっています。
また、2000年代から長くなり続けていたパンツにいよいよルールが設定され、「膝が見えなければダメ」という設定がなされたことにより、ダボダボすぎるバギーパンツ時代は終わることになりました。
そして、今度は逆にショーツを短くしていく選手が現れ、下に履いているスパッツが見えている状態で着用するのも1つのトレンドとなっています。
リストバンドを着用する選手が少なくなり、多くの選手がアームスリーブやロングスパッツなどを着用するようになったのも1つの流れといえるでしょう。
バスケットボールのユニフォームの豆知識
バスケのユニフォームの歴史を見てきたついでに、ユニフォームに関する豆知識も見ていってはいかがでしょうか?
実は上下違うデザインもあり
バスケットボールではあまり例はありませんが上下違うデザイン(色)のユニフォームでもOKです。
サッカーのブラジル代表のユニフォームみたいなイメージです。
バスケではハーレムグローブトロッターズというエンターテインメントチームのユニフォームがこれに該当すると言えるでしょう。
パンツにも背番号を入れてOK
当たり前といえば当たり前ですが、シャツだけではなくパンツにも背番号を入れることはOKとなっています。
ただし、シャツと背番号の番号が違うものを着用するのはNGなので、別の番号を着用している場合には出場できません。
グレーとシルバーはNG
バスケのユニフォームは1チーム最低でも「淡色」と「濃色」の2種類の色を用意することが義務付けられています。「淡色」は白っぽい色で、「濃色」は白以外の色と規定されています。
公式ルールでは、グレーとシルバーの色は「淡色としても濃色としても認められない」とされているので、そもそもグレーとシルバーのユニフォームはNGということになります。
ちなみに、黄色やゴールドはもう1種類用意する色によって、淡色としても濃色としても認められますが、黄色かゴールドの1種類しかユニフォームを用意しないということは認められません。
まとめ
このページで見てきたように、バスケのユニフォームはここ30年ほどで一気に変化しました。
ルールの規定も変化があったほどの変化具合なため、今後も素材やデザインなどの変化があると言えるでしょう。
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