バスケットボールの試合をTVやWEBで観戦していると、解説の人が「ディフェンスのクローズアウトが遅れたため、コーナーで待つシューターがフリーでシュートチャンスを得ました」などと解説することがあります。
ただ、クローズアウトという言葉自体は一般的な言葉ではないので、バスケ初心者にはわからないですよね。
そこでこのページでは、バスケで非常に重要な「クローズアウト」の意味や行為、クローズアウトを行うメリットややり方について紹介します。
クローズアウトとは?
そもそもバスケットボールにおけるクローズアウトとは、マークマンを離して守っているディフェンスの選手が、マークマンにボールが渡った際にマークマンにディフェンスが間合い・距離を詰めていく行為のことを指します。
クローズアウトをイメージしやすい動画が以下です。
クローズアウトを行うメリット(意味)
クローズアウトは何のために行うのかというと、簡単にいえばボールマン(ボールを持っているオフェンスの選手)をフリーにしておく時間をなるべく少なくする(フリーにしない)ためです。
バスケットボールはボールをリングに通せば得点できます。その行為ができるのは、ボールを持っている選手だけです。
また、多くの選手はディフェンスがいる状態よりもフリーでシュートを打てる状態の方がシュート確率が高くなりますし、フリーの状態であればドリブルをついてゴールに近づいてより確実なシュートを選択するということもできるようになってしまいます。
このように、ボールマンをフリーにしてしまうと相手に大きな得点チャンスを与えてしまうことになるため、少し離してついていたマークマンにボールが渡った際、余裕を持ったプレーをさせないためにクローズアウトを行うのです。
クローズアウトをうまく行うポイント
クローズアウトを行う際、近づいていくオフェンスの選手はボールを持ってフリーの状態にあるため、うまく行わなければそのまま相手に得点を与えてしまうことにつながります。
クローズアウトをうまく行うポイントは3つです。
全力で間合いを詰める
大抵のプレイヤーはディフェンスの選手が近くにいる状態でプレイをするよりも、フリーでプレイした方が得点効率の高い行動を選択できます。
そのため、チームの失点を減らすためにもまずは「ボールマンがフリーである状態」をなくすことが重要になります。クローズアウトを行う直前は、ボールを受けたオフェンスの選手がフリーであることが大抵なので、何よりもまずは全力で間合いを詰めましょう。
ここでゆるゆると近づいていってしまうとオフェンスの選手に余裕ができてしまうため、怖さが全くなく、余裕を持ったプレイを選択させてしまいます。
まずは楽にシュートを打たせない
ディフェンス側が最も恐れなければならないことが、ボールがリングを通過して相手に得点を与えてしまうことです。正直、どれだけオフェンスのチームが上手い連携を行っていたとしても、シュートができなければ得点には繋げられませんし、シュートが成功しなければ得点になりません。
クローズアウトを実行する場面では、ボールを保持したマークマンはフリーの状態でいることになるため、最も警戒しなければならないのは「その場でフリーでシュートを放たれること」です。
外角のシュートが苦手な選手の場合、あえて打たせるということも作戦の1つにはなりますが、大抵の場合フリーで打つシュートの確率はディフェンスがチェックにいっている時よりも高いです。
そのため、クローズアウトを行う際にはまずはシュートを打たせないこと、打たれてもしっかりとシュートチェックに行けることを念頭においたスタンスをとってマークマンに対峙しにいくことを心がけましょう。
オフェンスの選択肢を減らすことを考える
オフェンスの選手がフリーの状態でボールを持った際、ディフェンスの選手が最も恐るべき行動はその場でフリーでシュートを打つということです。しかし、全力でクローズアウトを行うと、オフェンス側が怯んだり、距離を詰めることでフリーの状態を解消することができます。
そうなると次に怖いのは他のフリーの選手に簡単にパスが通されることや、自分自身(ディフェンス)がドリブルで抜かれて無効化されてしまうという状態です。
こういった次のオフェンスの選択肢も考え、気持ちよくプレイができないように大きく手を広げたり、フェイントに引っかからないように我慢したりという気持ちでクローズアウトするようにしましょう。
クローズアウトの注意点
クローズアウトは自分のマークマンがドフリーでボールを持った際(持ちそうな際)には、必ずやるべき行為ですが、行う際の注意点もありますので紹介します。
ハーキーするのかしないのか問題
10年以上前のバスケ界(特に日本)では、クローズアウトを行う場合にはディフェンスの選手は、マークマンに近くなったらハーキーステップ(スタッターステップともいう)という、足を小刻みにバタバタとさせながらスピードを殺して近づくというのが一般的でした。
ハーキーをするとスピードを適度に殺せますし、一応重心が体の真ん中にある状態を維持できるため左右両方のドライブを警戒することができるため推奨されていました。
しかし、近年では最も警戒すべきなのはシュートであり、ハーキーをして近づいてくるディフェンスはうまくジャンプできずシュートチェックが緩くなるため、オフェンス側が楽にシュートを打ててしまうという理由から「ハーキーステップはしない方がいい」という見解も広がっています。
どちらがいいのかというのは、場面場面での結果論にもつながってしまいますが、自分のマークマンがボールを持ったエリアからのシュートが得意な選手なのであれば、シュートチェックを最優先するためにハーキーはなしで近づき、シュートよりもドライブやパスを警戒すべき選手なのであればハーキーを選択すると良いでしょう。
フェイントに安易に引っかからない
クローズアウトを行わなければならない場面というのは、オフェンス側がフリーの選手にボールを持たせることに成功している場面であるため、そもそもディフェンス側が非常に不利な状態になっています。
そのため、ある程度強引にでも止めに行かないと簡単に得点を許してしまいます。
しかし、オフェンス側もディフェンスがクローズアウトに来ることがわかっていますので、安易な選択をせずにシュートフェイクやドライブのフェイクをしてくることがよくあります。このフェイントに簡単に釣られてしまうと、頑張ってクローズアウトしたのに結局フリーでシュートを打たれてしまったり、最悪の場合、全力でぶつかりにいく形となってしまって大怪我に繋がることがあります。
すべてのフェイントに引っかからないようにするのは難しいことですが、オフェンスがフェイクをしてくる確率が高いと考えながらクローズアウトするようにしましょう。
まとめ
クローズアウトはバスケにおいて非常に重要なプレイの1つです。
ディフェンスの際にしっかりとクローズアウトを行うことで、オフェンスの得点チャンスを減らすことができます。とはいっても、ディフェンスがクローズアウトをしなければならない場面は、非常にピンチな状況です。
このページで紹介した内容をもとに、クローズアウトの場面でも守り切れるように練習してみてください。
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