2020年から2021年にかけて、日本人のNBA選手が活躍したり、オリンピックの話題などがあり、日本国内でもバスケットボール界が非常に盛り上がっています。しかし、オリンピックで忘れてはならないのがパラリンピック。障害者アスリートが出場する世界的なスポーツイベントです。
そこで障害者アスリート向けのバスケットボール競技が、車椅子バスケ。
この車椅子バスケはルールが普通のバスケと少し違うところがありますが、一般的にはなかなか知られていません。
そのため今回は、パラリンピックでも盛り上がるであろう車椅子バスケのルールの健常者向けのルールとの違いを初心者向けに解説させていただきます。
車椅子バスケのコートやボールは?
ではまず、車椅子バスケにおいてのコートやボールのルールについてご紹介します。
簡単にまとめてしまえば、コートやボール、ゴールについては一般的なバスケットボールのルールと全く変わりありません。
コートのサイズも、ゴールの高さもボールの大きさも全く同じものを使ってプレイします。
ジャンプができず、さらに座っている状態でプレイするため、ボールをさらに遠くに飛ばす必要があって、腕の力が必要だということがわかるかと思います。
トラベリングとダブルドリブル
次に一般的なバスケのルールと根本的に違う「トラベリング」と「ダブルドリブル」をご紹介します。
ダブルドリブル
単刀直入に言えば、ダブルドリブルという概念が車椅子バスケにはほぼ存在しません。
一般的なバスケは、ドリブルをして一旦持ってから、ドリブルを再開するとダブルドリブルというヴァイオレーションに該当しますが、車椅子バスケの場合には、自分が前に進む(歩く)にも手を使ってホイール(車椅子の車輪の部分)を操作する必要があるので、ドリブルをして、持って、もう一回ドリブルをしてということを禁止してしまうと、なかなかゲームが進まなくなってしまいます。そのため、車椅子バスケにはダブルドリブルがないということを理解しておきましょう。
トラベリング
車椅子バスケでは、身体の脚を地面につけるということはありませんが、車椅子に乗って動くため、独特なトラベリングの規定があります。
それが、ボールを持ったままホイールを漕げるのは2回までというルールです。
一般的なバスケで「2歩まで歩ける」というのに似ていますが、車椅子バスケの場合は、「漕げる」ということなので、もし目の前にディフェンスがいなければ大きく漕いでゴールに直線的に向かうことも可能です。また、ダブルドリブルもないため、1回ドリブルをして2回漕いで、1回ドリブルをして・・・と繰り返して加速することも可能です。
リフティング
車椅子バスケで最も独特なルールは「リフティング」でしょう。
このリフティングは、「車椅子からお尻を浮かせてはならない」というルールであり、ヴァイオレーションの一部となっています。
持ち点ってなに?
次に、なかなか理解が難しい持ち点(クラス分け)について解説します。
そもそも持ち点(クラス分け)ってなに?
一般的なバスケは、どんな選手であろうとも5人が出場して1チームという形となりますが、車椅子バスケでは「同時に出場する選手の障害の重さを一定にする(障害が重たい選手も出場する)」というような形でクラス分けという概念、ルールが存在しており、各選手1人1人に点数が振られています。
これをその選手の持ち点と呼び、その持ち点は選手の障害の重さによって決まっていて、同時に出場する選手の合計持ち点が「14点以下」にならなければならないというルールによって、出場する選手の制限がかけられます。
持ち点の詳細
では、持ち点がどのような形で決まっているのかというと、脊髄損傷などで腹筋、背筋の力を利用して身体を動かすことのできないような重たい障害の方には、「1点」、片足の切断による障害があるが、股関節から上半身までの動きには問題がないような比較的軽い障害の方には、「4.5点」というように、重たい障害には点数が低く、軽い障害には点数が高くつくように設定されています。
出典:https://jwbf.gr.jp/wheelchairbasketball
そのため、同時に出場する選手に関してこの持ち点の合計点を調整しながらメンバー構成を考える必要があるのです。※軽い障害の方(4.5点)だけを5人揃えると、14点を超えてしまうためルール違反となります。
車椅子バスケを勉強するなら「リアル」
車椅子バスケは、一般的なバスケよりもやはりチーム数は少ないため、実際に試合を見に行くというのは難しいと思われます。もちろん、パラリンピックなどの障害者アスリートの大会が開かれていれば見に行きやすいですが、それも頻繁に行われているわけではありません。
そこで、車椅子バスケを取り扱った作品で、車椅子バスケを勉強するというのが最も良い方法かと思います。
あまり車椅子バスケを取り扱った作品はありませんが、おすすめとしてスラムダンクを描いた井上雄彦先生が描いた車椅子バスケの漫画、「リアル」があります。
まさに車椅子バスケを現実的な形で取り上げた作品で、ゾクゾクしますので、一度読んでいただけると良いかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
車椅子バスケは日本でも少し謎な存在ではありますが、多くのルールが一般的なバスケと同じということがわかっていただけたかと思います。
また、実際の車椅子バスケの試合を見ていただければわかると思いますが、一般的なバスケと同等かそれ以上にぶつかり合いが激しく、車椅子のぶつかる「ガツン」という音に少しビビってしまうかもしれませんが、逆に言えば、障害者スポーツといってもそれだけ激しく興奮する競技なのです。
これを機に、一般的なバスケだけではなく、車椅子バスケの方も応援してみてはいかがでしょうか?
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