バスケの試合を見ていると、「バックパス」という反則が起こることがあります。
バックパスという言葉をそのまま説明すれば「後ろにパスをすること」なのですが、ただ単純に後ろにパスをするだけでは、バックパスにはなりません。
しかし、このバックパスについて、あまり理解できていないプレイヤーがいるのも事実ですので、今回はバックパスの正しいルールの知識と頻出場面についてご紹介します。
ここでご紹介する内容を頭に入れておけば、試合の展開がスピーディになったとしても、追いついて理解することができるでしょう。
バックパスの定義とは?
バックパスという言葉は、バスケットボールという競技に限らず、サッカーやハンドボールなど、パスが行われる競技でも広く使われています。しかし、バスケットボールにおける「バックパス」という言葉は、他の競技とは少しだけ違う意味を持っています。
バスケでのバックパスとは
バスケットボールにおけるバックパスとは、攻撃側のチームの選手が一度フロントコート(攻撃をする側)に入ってボールを持った後に、ドリブルやパスなどで、バックコート側でボールを触れてしまうことを言います。
フロントコートに入ったという判定は、ボールとボールを持っている人が、フロントコートに両足をつけた状態のことを指します。よって、ボールを持ってドリブルをしている人の足が、ハーフラインを超えていたとしても、もう片方の足がバックコートに入っていれば、まだフロントコートに入ったという判定にはなりません。
また、攻撃をしていて、フロントコートでディフェンスの選手にボールに触れられ、バックコート側にボールが転がっていって攻撃をしていたチームの選手がボールを拾ったとしても、これはバックパスにはなりません。
バックパスは、攻撃側のチームが、フロントコートからバックコートに向けて攻撃側の意思でボールを戻したことを指すのです。ちなみに、バックパスと呼ばれているこのルールの正式名称は「バックコートバイオレーション」です。
バックパスが存在している理由
バックパスのルールが存在している理由は、バスケットボールの試合のスピードを出すためです。
8秒ルールや24秒ルールと同じく、バスケにこのルールがなかった場合、攻撃側のチームがボールを永遠と回し続けることができてしまい、バックパスがなければ、フロントコートからバックコートの端までボールを返すということもできてしまいます。これでは、観客はつまらないですし、ゲームが一向にすすみません。これを避けるために、一度前に進んだら後ろのコートにボールを戻してはいけないというルールが存在するのです。
バックコートバイオレーションというルール
バックコートバイオレーションの全文も引用してこちらに載せさせていただきます。
第30条 ボールをバックコートに返すこと
30-1 定義
30-1-1 以下の状況の場合、チームはフロントコートでライブのボールをコントロールしていることになる。
・両足がフロントコートに触れたそのチームのプレーヤーが、ボールを持っているかフロントコートでドリブルしている。
あるいは、
・そのチームのフロントコートにいるプレーヤー同士で、ボールをパスしている。30-1-2 以下の場合、ボールはルールに違反してバックコートに返ったことになる。フロントコートでライブのボールをコントロールしているチームのプレーヤーが、フロントコートで最後にボールを触れ、次にボールが、
・体の一部がバックコートに触れているそのチームのプレーヤーに最初に触れた場合。
あるいは、
・そのチームのバックコートに触れたあと、そのチームのプレーヤーに最初に触れた場合
この規定は、スローインを含むそのチームのフロントコートで起こる全ての状況に適用される。ただし、プレーヤーがフロントコートからジャンプし、空中でそのチームが新たにボールをコントロールし、その後ボールとともにバックコートに着地した場合には、適用されない。30-2 ルール
フロントコートでライブのボールをコントロールしているチームは、ルールに違反してバックコートにボールを返してはならない。30-3 罰則
バックボードの裏側以外の場所で、違反が起こった場所から最も近い位置で相手チームにフロントコートからのスローインが与えられる。
出典:http://www.japanbasketball.jp/files/referee/rule/2020rule.pdf
バックパスが起こりやすい場面
バックパスが起こりやすい場面というのは、大まかに3つあります。ここからは、そのパターンをご紹介します。
ジャンプボール
試合開始のタイミングは、ジャンプボールを行うのですが、ジャンプボールを行う場所がセンターサークルであるため、ボールが転がる場所によっては、バックパスがかなり起こりやすいパターンになります。特に、相手選手とボールを争いながら確保した場合などは、フロントコートでボールを保持したにもかかわらず、相手選手を避けるために一歩引いたらセンターラインを踏んでしまったということもよく起こります。
センターライン付近でディフェンスに詰められた
バスケのディフェンスの作戦の一つとして、オフェンス側の選手がボールを運んできてセンターラインを超えた瞬間に間合いを詰めるというものがあります。
これはなぜかというと、バックコートバイオレーションのルールがあるため、ボールを持った選手は後ろに下がることができないため、他の場所でプレッシャーを与えるよりも、ディフェンス側に有利に働くからです。このようなディフェンスに怯んでしまうと、バックコートバイオレーションンになります。
センターライン付近にいる選手にパスを戻した
特に、ゴール下にドライブしたり、ベースライン際でディフェンスに詰められている場合などによく起こりますが、パスを出す選手はディフェンスに囲まれているので、苦し紛れのようなパスになりますが、センターライン付近にいる選手にとっては自分がフリーなのでそこからパスの出し手側に近づこうとはしません。
このタイミングでパスの強さの加減が変に強くなってしまうと、センターラインを大きく超えるパスとなってしまい、バックパスとなります。
バックパスが起こったら
バックコートバイオレーションが起こった場合には、ディフェンスをしていた側のチームにボールが渡るのですが、この場合には、バックパスがコールされた時にボールがあった位置の一番近いサイドラインからのスローインとなります。ドリブルでバイオレーションを宣告された場合には、わかりやすいのですが、パスでバイオレーションを宣告された場合には、パスを受け取った選手に一番近いサイドラインからのスローインとなります。
まとめ
いかがでしょうか。
バックパス(バックコートバイオレーション)は、バスケのルールに置いて他のスポーツとの違いを明確にする部分でもありますが、同時に攻撃に対する窮屈さを与えるルールでもあります。
このルールをしっかり頭に入れてプレイすることができれば、展開の早い試合でも必ずチームに貢献することができるでしょう。
逆に、バックパスを理解せずに試合に出場してしまうと、バイオレーションを連発してしまう可能性もあります。この記事を何度も読み、理解するようにしてください。
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